• 2010年11月20日登録記事

帝国劇場にて「モーツァルト!」17:15回観劇。
http://www.tohostage.com/mozart/

本日のキャストは、ヴォルフガング:山崎育三郎、男爵夫人:香寿たつき、アマデ:黒木璃七。
リーヴァイ氏&クンツェ氏の「エリザベート」コンビによるウィーンミュージカル、しかも潤色は小池修一郎と言うことで、「エリザベート」色を感じるところもありましたが、曲調はまったく違い、ややロック風なアレンジや軽いシーンなども多々あって驚きました。
解釈に悩むシーンがあったり、2幕の幕切れがやや呆気なかった印象でしたが、東宝でも屈指の実力キャストが揃って歌う素晴らしい楽曲の数々に大変楽しませて貰いました。
ヴォルフガングが一人だけジーンズ素材など現代的な洋服を着ていて驚きましたが、あれは時代を超えた天才性や孤独の演出なんだろうと解釈しました。
また、男爵夫人はヴォルフガングにとって導きの天使なのか悪魔なのか、劇中の役割が分からずむず痒かったのですが、途中で天から遣わされたアマデの現世での活動を支援する為の存在なのかな、と飛躍した想像に至りました。
ヴェーバー家族は不快だったけれど、実在した人々ですから仕方ないですね。

今日は終演後にトークショーがあり、山崎育三郎と吉野圭吾が登場してくれました。
終演後は魂が抜けてしまうらしく、また先輩に囲まれていることもあって口の重い山崎君を、アルコ役の武岡淳一が間を保たせながら進行してくれました。珍しい展開もあり、山崎君の可愛らしい人となりも知ることが出来てお得でした。

以下、気になったキャストについて軽く触れておきます。
ヴォルフガング・モーツァルト@山崎育三郎
モーツァルトの人物像は全然知らなかったので、彼の演技が良いか悪いかは分からないのですが、体当たりで自然な演技をしていると感じました。「レクイエム」を書くシーンでは、どっと老け込んで蒼白になっているように観えました。入魂の演技だったと思います。
歌も充分な歌唱力でしたが、歌うときなどに首を竦めるような姿勢になることがあり、舞台人は姿勢第一だと思っているので少々気になりました。

コンスタンツェ@島袋寛子
SPEEDの後、ミュージカル女優として活動していることは知っていましたが、今まで観ることなく過ごしていたので、今回が初見です。
一幕では、さすがに磨かれた可愛さはあるものの、喉からの発声が気になって異質感を受けました。しかし二幕のソロ「ダンスはやめられない」でぐっと惹き込まれました。
キャラとしては、何を考えてるのか良く分からない複雑さがあって難役だと思います。

コロレド大司教@山口祐一郎
巨体と実力が大変な迫力と存在感を現していました。個人的には、トート役よりずっと好印象でした。
馬車のシーンは、自力で揺れたり用足しがあったりと面白かったし、ご本人も茶目っ気がある方らしいので楽しんでいるのかなと感じました。

レオポルト@市村正親
いぶし銀と言う感じの演技でした。ただ、四季らしい独特の歌唱が唸りに聞こえて、時々気になりました(山口祐一郎には感じなかったのですが……)。

ナンネール@高橋由美子
凄く小柄なので吃驚しました。最初のアマデ(ヴォルフガング子供時代)の姉役も、同一人物ですよね。結婚後に忍耐を重ねた顔付きに美しさを感じました。
でも一番驚いたのは、キャスト挨拶で上手から走ってきた時に判明した胸の大きさだったりするんですけど……!

エマヌエル・シカネーダー@吉野圭吾
ジャンプ後の滞空時間が長く、流石の身体能力でした。
役としては、「いつもの吉野圭吾」って感じがしたのですが、あんまり経歴や人となりを知ってる訳でもないのに何故でしょう。

ヴォルトシュテッテン男爵夫人@香寿たつき
「星から降る金」は透明なのに染み入るような歌声で、激しく揺さぶられました。クセのない声音で、先日の「ガラスの仮面」以来ファンです。
高い鬘を被った貴婦人たちが並んだ時、一際大きな鬘なのに小顔で一番美しいなと思ったのは贔屓目でしょうか。

アマデ@黒木璃七
プログラムを観るまで、女の子だとは気付きませんでした。
子役がこんなに出ずっ張りの舞台は初めて観ました。台詞は一切ないけれど、ほとんどのシーンに出てタイミングを計って動作せねばならず、大変な大役ですよね。拍手喝采を贈りたいです。