• 2010年11月登録記事

今回は1場だけですが、密度が濃いです。

【1幕第9場 カフェ(D)】
カフェに、ラズロと連れの女性イルザが現れる。イルザとリックはパリでの知人だった。二人は再会に動揺する。

4回目の更新でようやくヒロインと二番手が登場。DVDの再生時間だと、開演後28分での登場ですね。特別待たされた感じがしないのは、キャストでなく舞台自体が魅力を放っていると言う事を示しているのかなと思います。
実は観劇するまで、演じる蘭寿とむの持ち味からラズロは武闘派寄りになるかも知れないと思っていました。しかし極限まで抑えた佇まいで、映画同様、知的な紳士になっていると思います。時々仕草(傷のシーンなど)がキザになるのはご愛嬌。
イルザの方も、演者の持ち味とは離れた役ですね。ビジュアルの説得力が欲しいところですが、このシーンでの鬘と帽子の相性があまり合ってないと思います。登場した瞬間眼を惹く美貌、とはいかないのが残念。

大尉からリックの名を聞いて動揺を見せるイルザですが、ラズロと少佐の会話が始まると、直ぐそちらに意識を切り替えて、以後台詞の上では動揺を見せないし、サムには「昔は嘘をつくのが巧かった」なんて言い返すくらいなので、随分強い女性だと感じていました。でもDVDで観ると、サムから牽制されて泣き出しそうになっているのですね。
リックといつ鉢合わせするか分からない場所で、思い出の歌をリクエストするのだから、多少覚悟はあったのでしょうに、リックと再会した瞬間、動揺をまったく隠せていないところに、女を感じます。
一方リックは、DVDで観るとイルザとの再会に茫然とした感じ。東京公演時の印象だと、もっと眉間の皺が凄く険しい表情だった気がします。
イルザは少し戸惑いを見せつつ笑顔を繕うのですが、その後リックが卑屈な対抗意識で際どい発言をするので、表情が完全に抜け落ちちゃうんですね。時々リックを伺うのと、自分の中に沈んでいくのとを繰り返しているのが僅かな視線の動きで現されていて、これはDVDのアップでないと観えない繊細な演技だなと感心しました。
また、リックが座る席の周辺だけ、どんよりした暗いオーラが漂っていて、照明も暗いように感じるのが面白いです。
群衆劇が面白過ぎて、舞台観劇時の後半はメインでないところを観ていたため、改めて真ん中の芝居を観ると気付きが沢山ありますね。

今更気付いた細かいこと。
サムの移動ピアノを準備するのは、ビゴーの役目だったんですね。いつの間にか用意されているので、舞台では気付きませんでした。彼はカフェ一番の働き者だと思います。彼が主役のSSも考えてあるんですけれど、形になる日は来るでしょうか。

POND'S×宝塚「美は宝キャンペーン」開催。

ちょうど化粧落としが切れ掛かっているので、POND'S製品を購入してみました。
キャンペーン対象商品には、直径5cmの丸いシールが貼付されています。
確認した限りでは、リフティングフェイスクリームクレンジングは赤。クリアフェイスクリームクレンジングは橙色のシールでした。

麻生が購入したのは「リフティングフェイスクリームクレンジング」。
赤いシールを開封すると、タイアップモデルの一人である花組・望海風斗の舞台写真(1面)とオフ写真(2面分)、商品へのコメントが見られます。
どうやらこのキャンペーンガールは、対象商品1つずつに担当している模様。キャンペーンサイトに掲載されている対象商品を、左から組順に当て嵌めて考えれば良さそうです。これは推測ですが、シールの色分けも組カラーが元になっているのでは?
もし自分がタイアップモデル生徒のファンだったら、折角なので該当する商品を買いたいところですね。
逆に、一人で全パターンを見ようとするのは至難だと思います。一般人は、そんな大量にクレンジングクリーム使いませんよね。ランダムでないだけ、良かったのかな。

ささやかですが、購入を検討している方への情報になればと思って、本日の日誌でした。

酒見賢一著「後宮小説」

中学校の図書室で、一度手に取ってみた事があります。試し読みのつもりで捲った箇所が艶かしいシーンだったことと、タイトルから受ける印象の微妙さに気後れして結局借りませんでしたが、どこか惹かれるところがあったので強烈な印象を残していました。
その作品を、十数年経って、ようやく読む事が出来ました。
調べてみたら、直木賞候補作になっていたのですね。だから学校にも入っていたのかな。

選評で「軽さがある」と評されたのも頷ける、さくさくとした読み応えでした。
キャラと展開はそのままで、もっと感動的な大作風に仕上げることも出来たと思うのですが、「歴史資料を元に小説にした」と言う体裁を最初から最後まで徹底的に貫くことで生んだ、あえての軽さだと思います。
歴史書や後世の意見と言う第三者の視線が作中に入る手法は、どことなく銀英伝に似ていると感じます。
が、未来を舞台にした銀英伝と違い中国王朝物ですし、冒頭にしれっと西暦で示されるので、途中まで架空歴史小説であると言う確信が持てなかったです。良く作り込んであると感心しました。

作品の一番肝となるアイデアは後宮を子宮のメタファーとした事だと思いますが、これが後半にきちんと生きてるのが面白いですね。
お話自体は特別眼を惹く展開だとは思わなかったし、官能的な表現が多いのでところどころ気恥ずかしいのですが、読了感が不思議と良く、なかなか楽しめました。
中学生の時に読んでいたらどう思ったのかな。逆に面白さが分からなかったかもしれません。

銀河は、最初から最後まであまり印象の変わらない主人公。格別才女でなく、特に序盤の無知には少々頭の痛い思いがしましたが、正妃になってからはその変わらない傍若無人ぷりが、立場に似合わぬチャーミングな点となっていました。
双槐樹の正体は直ぐ思い至ったけれど、地の文で女と明記されたので読み間違ったと思っていました。読み返したら、単に銀河の印象として双槐樹の事を語る時に女と言っていただけで、断定はしていなかったんですね。
玉遥樹は、最期に美学があったので悪くない印象を残していますが、思い返すと凄い恐ろしい人物ですよね。双槐樹への執着ぶりが凄過ぎる。江葉と世沙明が、それぞれに愛嬌あるキャラなのとは一線を画しています。
渾沌は面白いキャラ。個人的には、作者はこの人物を書きたかったのかな、と感じました。
宦官の真野は銀河が王妃になった後もっと関わって来るだろうと思ったら、まったくそんな事はなくて拍子抜けしました。

ファンタジー大賞の賞品の一部だったとは言え、良くこの作品をアニメ化したな、と思います。
玉遥樹と双槐樹の関係は変更されているようだけれど、菊凶などはどう描いたんでしょうか。

遂に、那智シナリオを始めました。

まだ2章ですが、那智相手だと、褒められているときでも、実のところ馬鹿にされているのか、多少は本心が含まれているのかと言うことが読めず怖いです。
2章などは、生徒会側の位置に立たせることで、ClassZと真奈美に溝を作ろうとしてるような気もするし、やる事成す事に裏を考えてしまいます。
那智の出番が増えると、慧の思考は那智によって方向性を与えられ機能していることが良く分かります。慧シナリオだとそこまで依存していなかったと思うのだけれど、那智シナリオだとこの調子で慧を操っていくのでしょうか。そのくせ、「慧は凄い」と褒め称えるのだから、変な奴です……。

今のところ清春は殆ど関与してきていませんが、「聖帝閑談録」を見る限り、お互いに警戒し合って指導と言う関係にならなそうだと感じます。果たしてどう展開するのでしょうか。

「カサブランカ」DVD感想の続き。

【1幕第6場 カフェ外(A)】
ルノーが犯人逮捕のためカフェに現れ、リックに協力を求める。

洗熊と狸が腹の探り合い(笑)をしているシーンですが、話し掛けられた時のリックが笑顔に見えるので、どこか「なぁなぁ」な緩い印象も受けます。「裏から行こう」と言われてルノーが応じる軽さにも、こんな雰囲気がいつもの事なのだと思わされます。
もっとも、大空アングルで見ると、イヴォンヌを見送った後に口笛を吹きそうな様子が分かりますので、表情が柔らかいのは単にその名残かも知れません。
祖国への思いと、カサブランカに来た理由を問われた時にだけ、リックの瞬きが多いような気がします。細かい所だけれど、他の台詞を言う時はそんな仕草をしないので、意図的な演技なのか、考え過ぎかな。
エミールの「プロとして恥ずかしい」は、東京公演だと矜持がありつつ恥じてる感じでしたが、DVDだと少し気弱な感じを受けました。

【1幕第7場 オフィス〜カジノ(B)】
レジスタンスの英雄ラズロが渡米の為カサブランカに到着したことをルノーから知らされ、リックは脱出の成功に一万フランを賭ける。

賭けの話までは、前場に引き続き丁々発止のやりとりですが、ルノーから素性を調べたことを明かされた瞬間、表情から親しみが消えて硬質の表情のまま動かなくなるのが好きです。
「今にこのカサブランカは」に続く言葉として、大尉は何を言おうとしていたのでしょう。ナチスの占拠下に置かれる、でしょうか。でも大尉のような面従腹背のフランス人がいる限り、彼等が本当にカサブランカを支配する事はないと思うのですけれどね。

【1幕第8場 カジノ(C)とカフェ(C)】
外交官殺害の容疑でウガーテが逮捕された後、リックはシュトラッサー少佐らから詰問される。彼は過去レジスタンスに参加していたのだ。

ウガーテが警官に囲まれた際、隣の席でヤンが「ぽかーん」としているのが可愛いです。
それにしても、ジャンはリックと親しいとも思えないのに何故「俺の時は助けろよ」と言うのでしょうか。蝙蝠的な彼の立ち位置としては、リックの本心を探っているのかも知れませんが、断られて目を剥くのは演技でない感じがします。
ジャンの本心を読み解くのは、この場に限らずかなり難しそうです。
DVDでは映っていませんが、初めてカフェのセットが登場するとき二階から早めに内部を覗くと、給仕中のカールが横を通り過ぎたジャンに気付いてジャケットの中を確かめる、と言う演技をしていました。つまり、リックのカフェの従業員は、ジャンがスリであることを知っているのですよね。その割に堂々としているのは、リックが突き出す訳がないと思っているのか、最終的にルノー大尉に何とかしてもらえると思っているのか。
ただし私は、ジャンはリックの店で仕事をした事はない、と考えています。
理屈は明言し難いけれど、ウガーテがそうであったように、ジャンもリックに憧れている面があるのでないかと感じるのです。自分でも、三人が白系スーツジャケットに蝶ネクタイと言う衣装であることに意味を求め過ぎかと思うのですが……。

リックが少佐から詰問される間、逐一ルノーがフォローを入れたり慌てるのが面白いですが、この時のリックは大尉も含めた制服組全員に対して心を閉ざしている様子。
少佐が飲み干したシャンパングラスを机に叩き付けた瞬間、プラスチックの音がするのが残念です。
それにしてもこの4人のテーブル席、3種類の軍服+リックと言う夢のような席ですね! 絵にしたいくらい。
大尉はヴーヴ・クリコを注文するときに年数を指定するけれど、シャンパンにもワインのようなビンテージがあるのでしょうか。